昔と比べると現在は寝たきりの人が非常に多くなっているばかりでなく、寝たきり期間も長くなっています。家庭での介護者も、ほとんどが女性であり、高齢化しているのが現状です。献身的な気持ちから始まった介護も、買い物にも中々でかけられないとか、夜も寝られないという状態を三か月、半年、一年と続けていくと、精神的にも肉体的にも限界がきてしまいます。そこで、ある日、介護しているという状態がプッツンと切れてしまいます。
困難な介護状態が続くと、次第に憎しみとなり、虐待という行為にも及んでしまいます。家族では全くお手上げで、家族崩壊にも陥ってしまいます。家族に依存している在宅介護を、今、転換すべき時期にきているのです。それは介護の社会化で、介護によって家族が崩れないように、家族による介護に、社会的支援を組み合わせて、家族が家族らしく暮らせる社会を作るということです。
具体的に言えば、介護の専門職であるケアマネジャーがケアプランを作成して、ホームヘルパーの派遣、ショートステイ、デイサービスなどを活用することです。それぞれ介護の専門家が、老人介護を行う事で、家族の介護は軽減するばかりでなく、今まで密室性が高く、虐待の温床になっていた家庭生活に新鮮な空気が入っていきます。専門家に任せる時間を持てることで、家族は精神的な家族でなければ果たせない「心の安らぎ」を享受できるようになるのです。介護の専門職も家族と共同で介護を行うことになり、社会のために貢献できるという、大きなやりがいを感じることができます。